東大柔道部見どころ

 

東大柔道部平成10年卒 西森大

今年もいよいよ七大学戦の時期が近づいてきた。
この大会は、各校が優勝をめざして1年間重ねてきた稽古の集大成の場となる。
東大柔道部の目標はもちろん昭和48年の第22回大会以来となる優勝である。

平成18年、平成20年は決勝に進みながら、あと1歩のところで涙を飲んだ。
主管校として臨んだ去年は初戦を突破したものの名大に完敗、2日目に進めないという屈辱を味わった。
現役学生が去年の敗戦をどのように受け止め、この1年精進してきたか、その成果に期待したい。

今年の東大は、境大寛主将の下、例年以上に充実した稽古を重ねてきた。
主なメンバーを紹介する。
4年生は派手さはないが、それぞれ去年とは見違えるように力をつけてきた。
主将のは90キロ近い体を生かした重厚な寝技を武器に、この1年でぐっと安定感を増した。
去年は名大戦で1人抜き。今年はそれ以上の活躍が望めよう。
小柄ながら立ち技から寝技への移行が巧みな新田栄作、長身から繰り出す技に威力が出てきた伊藤理士には得点を期待したい。
伊藤は先日の東京学生団体優勝大会では初戦の芝浦工大戦で3対3で迎えた大将戦で見事な一本勝ち。東大が全国大会出場校決定戦に進むきっかけを作った。
立ち技に威力がある細川聡一郎、寝業師・岡俊一郎は去年も出場。若い選手が多いチームにとって心強い存在だ。

3年生で中心となるのは、去年の阪大戦での4人抜きが記憶に新しい次期主将の寺田悠甫
ウェイトトレーニングで鍛え上げたパワーは七大学でもトップクラス。
3月に行われた京都武徳殿での寝技練成大会では名大相手に、島井小塚平野の3人を抜き、高木と引き分け。更に東京学生団体でも強豪校の選手と堂々渡り合う試合ぶりを見せた。名大の中川、中ノ森、北大の林、小林、保坂、東北大の木村ら各校の有力抜き役との対戦も楽しみだ。
背負い投げが得意な高渕滋輝、大学で白帯から始め成長著しい堀内康平の活躍も今年のチームの鍵となりそうだ。

今年の東大の台風の目になりそうなのが元気な2年生陣。去年も出場した中野進一郎山村仁に加え、
長身の張錫麒光武敬志らも出場が予想される。元気な試合ぶりでチームに勢いをつけてほしい。

1年生は10人が加入。愛知県2位の実績を持ち東京学生柔道優勝大会で早くも鮮烈なデビューを飾った金田一麟平が、
地元・愛知で行われる七大学戦でどこまで力を発揮するかに注目したい。

そして忘れてはならないのが5回目の出場となる前主将・渡辺直人。抜群のスピードと切れ味鋭い立ち技は今年も健在。
2位2回を経験している渡辺は誰よりも優勝に飢えている。彼の勝利への執念が必ず勝負所で他の選手を後押しくれるはずだ。

各校が1年間培ってきた力を十分に発揮し、悔いのない戦いをされることを期待したい。